中村俊輔:奈良先端科学技術大学院大博士前期課程修了
学生時代からデータサイエンティストとして株式会社マクロミルで勤務
新卒で楽天株式会社のビッグデータ処理アプリケーション開発に携わった後
スタートアップでWebマーケティングツールのデータ解析部分をスクラッチから開発
現在は中村牧場合同会社の代表を務める。
30以上のプロジェクトのコンサルタント、開発者、プロジェクトリーダーとして携わりながら50人以上のデータサイエンティスト育成~実稼働までサポート

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社会人生活早期から複業をスタート

ー現在どのようなことをされていますか?

本業は中村牧場という会社です。ここでは人工知能の受託開発をしています。

「こんなAI作って」と言われたら作り、お金をもらう、いうのがメインの仕事になります。

昨年にこの会社を立ち上げて、現在だいぶお客様が増えている状況です。

ただ、AIの受託開発は自分がずっとやってきたことだったので、一念発起して起業したという訳ではないです。

ー本業がAIの受託開発で、もう一つ複業をされているということですか?

はい。色々やっています。次に大きいので言いますと、エッジコンサルティングさんという会社で、これがAIを教える講座「AIジョブカレ」の講師をやっています。

職業柄昼に活動できる方が少ない中、”昼間も動ける講師”として有名になっていて、法人研修などに沢山行っています(笑)

ー中村さんの、働き始めてから現在に至るまでのご経歴を教えてください。

最初に会社で働いたのは学生の時です。

大学院の時にインターンシップで1ヶ月ほどAI関係の仕事をしました。
インターンシップが終わった後に「もう少し働いてみない?」というお声かけがあり、半年ほど働きました。

その後卒業して、新卒で楽天に就職して、2年ほどその会社にいました。
Webマーケティングツールのcherry-pickという会社で1年ほど複業して、「そろそろうちに来なよ」と言われたのがきっかけで転職しました。

その会社で働きつつ、また勉強会に行って「うちでも働かないか」ということを言われて、そこからまた複業を始めました。
9DWという会社なのですが、そこでようやく人工知能の受託開発をしている会社に出会います。
複業先ながらもそこのCTOをやって、その会社で2年ほど勤め、その後起業したという流れです。

ちなみに、クラビスというマネーフォワードの関連会社でもお仕事をさせて頂きました。
時期としては9DWに勤め始めた時ぐらいからです。
振り返ってみるとみると常に2足か3足のわらじを履いて仕事をしていました。

時間も場所も自由な”会社”

「自分の会社を立ち上げた」と言ったのですが、うちの会社はフリーランス集団なんです。
20人ぐらいいるのですが、ちゃんとした社員はそのうち2人だけで、他は全員業務委託で、みんな複業しながら働いています。
働くことに関する考え方が独自なので、そこに共感してくれる人がいれば、うちに沢山来てもらってるという感じです。

ー働き方というワードが出てきましたが、今会社の方で皆さんどのような働き方をされているのですか?いわゆる普通のフリーランスとか業務委託とは違う環境なのですか?

契約的には全て一緒なのですが、働く場所が自由で時間も自由です。
また、働いた時間に対して成果を支払うのではなく、「これの機能を実装したら一日分ぐらい働いたよね」というのをお互いに合意をとって、その機能が開発されたら支払うという形です。

そうすると、リモートワークでも、サボったらお給料払わないだけなので(笑)あとは、プロジェクト単位でチームを編成するので、自分が仕事を取ってきて、「こんなお仕事あります」という話をして、興味ある人でチームを組んでいます。

ーある意味コミュニティのようなものでしょうか?

そうですね。仕事を良い意味でも悪い意味でも”自由”です。
例えば「面白くない仕事は平気で断っていいよ」という話をしますし、自分も断ります。

また、エンジニアとして幸せになれるのかどうか、というところをメインに考えて、仕事を選んでいるので、そこが良い所だと思います。

ーエンジニアの皆さんどんなところに幸せややりがいを感じるのですか?

仕事をしている時間のうち、開発をしている時間をほぼ100%にするのが一番嬉しいと思います。
それが単純な開発ではなく、少し歯ごたえのある内容なら尚更です。

彼らは基本的には良くも悪くもオタクなので、オタクには開発をずっとやらせていることが、本来一番パフォーマンスが出るんです。

ただやはり、普通の会社のエンジニアだと、色々と割り込みタスクがあったり話しかけられたりあるので、そういう所は全て私が吸収して、作業に集中してもらうっていう環境を作れているのが一番大きいと思います。

ー社名の中村牧場はどのような意味なのですか?

これは二つ意味があります。
一つは、人工知能は開発して終わりではなくて、お客さんと一緒に育てていくものなので、「なんらかの新しい命を一緒に育てましょう」という意味です。

もう一つは、仕事を餌とすると、ここにいる人達も育つであろうという意味です。何か作る仕事があって、お客さんとエンジニアが育っていくような環境、という意味で作りました。

こういう業界は横文字の会社が多いのですが、「そろそろ飽きたな」と思って、漢字で作りました。ツッコミどころは満載の方が良いかなと(笑)

スポーツ×テクノロジーへの挑戦
将来的にはNFL(ナショナルフットボールリーグ)へエンジニアとして参画をしたいと語る。

ーもう一つ軸の部分にスポーツがあるのですか?

そうなんです。個人的にスポーツがめちゃめちゃ好きで、大学の時はアメフト部でした。
選手ではなかったのですが対戦相手の分析をする役割をしていて、「凄く面白いな」と思って、最初はそれを仕事にしたいと思っていました。
ただ、「なかなかそれで食って行ける世界ではないな」と思ったので、「そういう職業を作れば良いんじゃないか」ということで、今AIを使ってスポーツの勝利に貢献する仕事を探しています。

ーチームの中にそういう役割があったのですか?

いや、ないです(笑)
あるかもしれないですが、表立ってはないです。

統計屋さんはいるのですが、AIを使ってどうこうするっていう人は、今はそんなにいないです。地道に今国内で活動をしているのですが、そこから突き進んで米国に行ければ良いなという感じです。
ちなみに今、アメリカいますよ。

ーえ?そうなんですか?ということは今昼夜逆転していますか?

そうですね。今、夜の11:20です。

ー遅くにありがとうございます。では、普段仕事をしている時も、夜から働き始めることが多いのですか?

今ちょうど旅行がてらというか、三週間ほどアメリカに住んでいるんです。
なので10月の中盤ぐらいにまた帰ります。
アメフトを観にきたんです。
「どこでも働けるんだったら、どこでも旅行に行って良いよな」と思いまして。「じゃあもう企画しちゃえ」と。

ー会社の方とかと一緒なんですか?

いえ、家族で来ています。本当に個人的に来ています。

ー確かにそこはエンジニアの方の強みですよね。どこでも働けるっていうのは。

そうですね。
言わないとバレないですね。
お客さんともこうやって話しているので、「実は(海外に)いたんですよ」って言うと「本当ですか?」みたいな(笑)
日本にいないことにびっくりされますね。

ー実際日本のエンジニアの方も、正社員として働くとなんだかんだ出勤しなきゃいけないと聞くので。

出勤させた方が管理は楽ですよね。

既に一部の仕事は人間からAIへ

ー「AIの時代だ」と言われているわりに、そんなにまだ進んでないような気がしているのですが。

進んでいる会社と進んでいない会社で、めちゃめちゃギャップがあります。もう天と地ほど差があります。

ー進んでいる会社だとどういう会社があって、どういうことをされているんですかね?

月並みだとGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)です。
あそこら辺は次元が違います。AIはデータがあればあるほど強くて、そのデータがあればあるほど強くなっていくとみんながそのサービスを使うのでどんどんデータが溜まっていくという、凄く良いスパイラルなんです。

なのでみんなプラットホームを握りに沢山のプロダクトを出す訳ですけれども、後発組が勝てなくなってしまっているんです。

例えばですけど、今から検索エンジンを作る人はいないですよね?というぐらいになってきているので、GAFAは盤石なんです。
データも彼らが持っているので。例えばGoogleのアカウントで、「あなた何歳の男でしょ」みたいな感じで書かれるのですが、驚くほど当たりますから。

ー広告とかもそうですよね。

はい、全て見られていますね。そこら辺から1グレード落とすと、国内だと、AIの活用か…逆に国内はそんなに進んでないですね。「ちょっとやってる」とかの方が多いですね。

ー取り入れ方がまだ分かっていないということですか?

そうですね。
逆にそこに我々のビジネスチャンスがあります。
今凄いデータサイエンティストとかいるじゃないですか。
彼らは本当に凄いんですけど、その凄い技術を世の中の課題解決に役立てる方法を知らないんです。

「これをこうしたらこういうサービスに使える」という肌感がないので。
我々はそういった物事の解決にAIの技術を利用するというところに長けているので、そこが今我々が食えていけているところです。

なので、おっしゃる通り全然導入されていないです。
ただ、ちょっと前と肌感が変わってきたなと思うのが、皆さんAIに関して大体の肌感を掴んでいて、「やらないとだめだ」っていうを皆さん知っています。
なので一時期よりも営業に行っても良い反応が増えてきました。

ー「よく分からないけど理解はしてもらえる」ということなんでしょうか?

そうです。まがい物の会社とかは多いんですよ。
「AI作ってます」と言ってなんもやってないみたいな。
そこを見分ける能力がついてきたので、「ちゃんとAI作ってます」っていうのを教えてあげたら、「あなたのところとやりましょう」って分かってくれるので、ありがたいですね。

ーこの働き方も徐々に変わってくると思います。とはいえ、まだ人の仕事を取るまでにはもう少し時間がかかりますか?

一部は取られていますね。既に。

業種によると思うのですが、軽度な知的作業でルールベースでやってる人たちはここ10年ぐらいでいなくなると思います。

でも人と関わる仕事をしている限り絶対になくならないですよ。

ただ、たまに自分たちが怖いなとは思います。クラビスっていう会社で、そこでは会計処理の自動化をするサービスをやっているのですが、その裏側を、最初はベトナム人が入力していたんです。
それを徐々にAIに置き換えていくと、必要なベトナム人が10分の1になりましたって聞いて、残りの9割は今何してるんだろうって思います。


また、ちょっと年齢が上の人になると、AIの「こうやって動いているんですよ」っていう話をしても根本的に理解ができないっていう人がいるんです。
「必要っていうのは知っているんだけど全く分からん」っていう人達は凄く怖いんだろうなって思います。

講演で登壇する機会も多い

未経験からスタートするエンジニアも生き残ることはできる

ー今結構日本だと、未経験エンジニアが流行っています。
このようにスタート時期が遅い方は、AIで淘汰されてしまうのではないかと思いますがどう思いますか?

淘汰されるでしょうね。
ただ、そういう人達に仕事がないかって言われたらそうではないと思っていて、うちの仕事もそうですけど、つまらない仕事はやらないんですよ。
そういった仕事は全然残るので、ちょっと勉強した人は仕事は普通にあると思います。

手をめちゃめちゃ動かすだけの人も、なんだかんだ必要だと思うので。それがテクノロジーに付随していれば仕事はあります。

うちが人を採る時に、教育をしながら採用するのですが、「じゃあこれやっといてね」って言って、ほぼ何もフォローしなくて、本当にちゃんとやってくる天才型の人と、全く何もできませんという人はいます。

社会人10年目で「AIちょっとやりたいです」っていう人は感覚がないというか。AIについての感覚がなくて、一応知識はあるけどものは作れないという人は結構います。

ー「人工知能は簡単だ」みたいな、東大の松尾研究室の話を聞いておけばできるみたいなのをネットで見たのですが、どう思いますか。

(全く素養がない方が理解することは)難しいですね。
ちゃんと分かっている人からすると、例えばちょっとした分析をして動くAIを作るとすれば半日でできるんです。
そういう意味だったら簡単にできます。簡単にできる道具はそろっているんです。

それを速度的にはせいぜい10秒20秒ぐらいで分析できちゃったりするので。
ただ、その技術を正しく使おうと思うと、体系的に理解していないとだめです。松尾研の資料は本当によくまとまっていてはいるのですが、ちゃんと資料に書いてある意図を全て理解していないといけません。
読んだだけでは理解したことにはならないですから。
そういう意味だと、付け焼き刃ではできないと思います。

ただ、昔よりはだいぶやりやすいですね。さっき簡単な分析だったら半日でできますと言ったものが、昔だったら専門家でも20日ぐらいかかっていたんです。
20日かかっていたものが半日でできるようにはなってはいるのですが、それに必要な知識は変わっていないです。

ー昔のhtmlみたいに、最初は学ぶの大変だったけど、みたいなイメージでしょうか?

そうです。今だったら簡単にHPを作れるようになりました。
でも「ここの動きをこうしたい」とか、そういったところをやろうと思ったらCSSやJSを分かっていないといけないですから。
AIってカスタマイズされていないと意味がないんです。
Webページだったらなんとなくオシャレっていうので済むのですが、例えば犬と猫を分類するっていうものができたとしても、それをなんらかの業務に生かせるかと言われたら全く意味はないですよね。
その業務固有の課題を解かないといけないので、そういうところでは自分で作らないと、というところで必要になってくると思います。

とはいえ、一番ロマンがある分野なので沢山人が来てほしいとは思っています。面白いですよ。普通の開発よりもめちゃめちゃ面白いです。

ー仮に中村さんのところで働くとしたら、何か必須要件はありますか?

研究チックなところがあるので、ちゃんと仮説を立てて検証できる能力は絶対に必要です。
あとはAIの基礎というか、データの扱い方だとか。
「これやっちゃいけない」みたいなお作法があるので、少なくとも学んでおいてもらわないといけません。
できなくないですけど、こちらも面倒見てあげられない状況なので、一人でやってもらうにはそれぐらいはやっておいてほしいです。
あとソースコードはわかっていてほしいです。
「こういう機能を追加してください」って言ったら書いてくれる人ではないと難しいと思います。
ただ、ものづくりが好きだとか、研究チックなことが大好き、数字とか表に書かれている数字を見たら興奮する、みたいな人は合ってると思います。

一応うちのエンジニアのような、AIを本当に作っている人たちと、AIを実際のアプリケーションに載せるという、普通のエンジニアリングですね。AIとサービスのインテグレーターみたいな人の2種類がいるので。

どうやってその人達と知り合うのかというと、イベントで知り合う人が多いです。
これも良いスパイラルだと思うのですが、今回のように「面白い人がいるよ」と紹介してもらうと、「記事にして良いですか?」とか「イベントやるのでしゃべってもらっても良いですか?」と呼ばれるんです。
そこで喋ったりすると、「中村くん面白いね」というように声をかけてもらって、「うちで働かない?」と言われることが増えてきます。
自分はホイホイついていくタイプなので、その場でやることを決めて明日にはその会社に行って具体的な話をしに行く流れになります。
とりあえず露出を増やします。
露出は自分が主催する側になる、自分が話すとか、そういった一対一になる機会を増やして、興味を持ってもらった人との縁を大切にするというところをやっていけば良いと思います。

イベントとかに出まくって、依頼をもらって出て、そこで人脈を広げていくことをしているので、それは良いなと思います。
なぜかというと、イベントやインタビューで自分の話をするのですが、それを見聞きして「良い」と思った人しか声をかけてこないんです。

自分は結構変な人なので、「普通の人がいい」っていう人は絶対来ないです。その部分で、「後からちょっと違ったな」ということがないです。
自分の特徴を言った上で話しかけてくれる人たちなので、そこでのミスマッチが少ない所が良い所だと思います。話がはやいです。

ーそれなら自分にとってのストレスもないですね。

主催するって大変なことだと思うので、 ライトニングトーク等で5分喋るとか、そういう所から始められると良いと思います。
エンジニアのイベントって、都内だと毎日どこでもやってるんです。4.5人しか出ないイベントもありますが。
そういうのに出まくって主催しまくることを心がけていると、自然に仕事が見つかると思います。

この記事を書いた人
アバター
ふじもん

AW編集長。
大手人材会社⇨2期目のスタートアップ⇨渋谷のベンチャー。
1社目の同期である社長に誘われ、AWに参画。

複業をすでにされている方がいらっしゃいましたら、是非ともお話お伺いしたいのでメッセンジャーでご連絡ください。

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