金田 謙太
札幌市出身。フロリダ大学卒業後、2016年株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。メディア事業部にて広告プランニングを担当。2017年に子会社であるSHOWROOM株式会社に出向し、海外展開を担当。海外の現地企業とのアライアンス交渉などを行う。2018年独立し、withlyを創業。スタートアップから大企業までのマーケティング戦略の策定と実行を行うマーケティング事業と、自社のWebサービス開発を行っている。

現在は代表として複業

ー現在のお仕事の内容を教えて下さい。

会社を2018年の5月から登記していて、現在withlyという会社の代表を務めています。事業内容は大きく2つあり、クライアント向けのマーケティング事業と、もう一方は自社サービスのプロダクト開発をしております。

マーケティング事業はクライアント様毎に課題を発見し、同じ目線に立って共に解決していくマーケティングを行っています。一方的なコンサルティングではなく、実行まで一緒に行うのが僕らの特徴です。

マーケティングといっても、広い定義なので具体的な施作をお話しますと、例えば、オウンドメディア立ち上げの際に初期のコンセプト設計からグロース戦略の立案まで行ったり、サービスの認知度向上やユーザー獲得に繋がるサービスブランディングを行っています。タスクベースですと、デジタルマーケティング、SNSの広告運用などを受けることが多いです。

プロジェクトによって自社のメンバーが稼働することもあれば、クライアント様のメンバーをディレクションする立場で一体となり、プロジェクトを動かしていくことも多いですね。

課題の解決に向けて必要なスキルやリソースを考え、都度最適なチーム編成をしていきます。

現在複数プロジェクト行っていますが、一つはオウンドメディアの運用です。どのようなコンテンツを出せばコーポレートブランドを社外に届けられるのかを検討しながら企画を行ったり、コンテンツを読者に届ける為にどの発信媒体でリーチしていくのか、などPDCAを回して全般的に運用に携わります。

また、金融系のクライアント様では決済サービスのブランディング戦略を考え施策を実行しています。機能が特出しづらい業界なので、いかにユーザーに愛着を持ってもらえるかが課題で、どうしたら使い続けて貰えるか、というブランディング戦略を実施しています。最終的には「利用回数」「継続率」などのKPIに落とし、施策の改善を重ねていきます。

後は、新規事業の創出のお手伝いなどもしています。

利益を生み出す太い柱となる事業がすでにあり、安定はしているけれど、思い描いている成長はできていないクライアント様に対して行うことが多いです。新規事業に投資をしたくても、新規事業経験者が企業内にいなかったりするんですね。そこに今まで新規事業やサービス作りを行ってきた僕達が入り、新規事業のアイデア創りから行ったり、事業としてお金がしっかりと回るまでの施策作りとオペレーション作りを行っています。

マーケティング目線を加えてコーポレートサイトやサービスサイトの刷新に入ることもあります。どうしたら自社サービスの事を覚えて貰えるかを考えながら、サイト制作をしていますね。このような感じで、マーケティング事業と言っても幅広いプロジェクトを担当しています!

ーとても幅広い種類のプロジェクトがあるのですね。どのような依頼の形で案件が生まれるのでしょうか?

ブランディングにしても、事業の成長にしても最初は、クライアントさんが「なんとなく課題があるんだけど、解決の仕方がわからない」といったところからお話が始まることが多いです。

ー漠然とした依頼から、実践的な提案をされているのですね。

そうですね。そこが僕達の一番サポートできる部分なんです。僕達は何かマーケティング支援を始める際にまずしっかりとクライアント様の課題感を聞いてから、どのような戦略、施策が適切なのか考えることが多いです。例えば、今行っているオウンドメディアやSNSの発信は手法であって、目的ではないので。手法が目的になってしまい社内で動き出していまうと、何の為にやっているのかがあやふやになってしまうんですね。ですので「手法の目的化」を防ぐ為に、最初にしっかりとお話を聞いてから提案内容を決めることが多いですね。

ーなるほど。では、自社サービスの開発内容についても教えてください。

今作っているのは「ユニット」というサービスで3月にリリースしたばかりです。「チームの結びつきを強くする。」というコンセプトをもとに、お互いの理解を深めていく為のプラットフォームになっています。

市場に出ている既存のメンバー管理のサービスでは、メンバーの社員番号、部署、生年月日等の事務的な情報は見ることができます。ただ、SNSのように‘‘人となり‘‘を理解できる場所がないと思っていたんです。

僕の実体験でもあるのですが、同僚と仕事の話はしていても、日常の会話がなかったり、意外と隣に座っている人がどこの出身なのかも知らないと思っていて。そこにもっと理解があってもいいのではないかと感じていました。

なぜなら‘‘人となり‘‘をお互いに理解すると、心理的安全性が高まって仕事のパフォーマンスが上がったという原体験があったから。機能的な、人事っぽいSaaSではなく、僕はもう少しウェットな感じのサービスを作り出せないのか、という思いを持ちながらにサービスを作っています。

ー近日リリースされたとのことでしたが、どれくらい前から準備されていましたか?

スタートしたのは10月です。開発チームはみんな複業メンバーであったので、開発スピードはフルコミットしている会社に比べるとやや遅いですが、優秀な複業メンバーが協力してくれました。メンバーにはフリーランスの方もいるので中には複業だけの方もいますし、本業に勤めながらのメンバーもいます。

趣味がカタチになった複業経験

ーご経歴から複業についてお聞きします。起業されるまでの経緯を教えてください。

僕は北海道札幌市出身で、ずっと北海道にいました。高校卒業と共にアメリカの大学に6年程通い、マーケティングの学位を取ってから帰国します。そして、新卒でDeNAというIT系企業に入り、インターネットメディア事業部で広告のプランニング等を行なっていました。

DeNAを退職して、海外へ戻るつもりだったのですが、SHOWROOMの前田代表とたまたま渋谷でランチをする機会があり、当時の相談をしたんですね。前田代表も投資銀行時代ニューヨークに2年間いた事があり僕と合うのではないかという事で、繋げてもらったのがきっかけでした。

そして、そのタイミングが、たまたまSHOWROOMが海外展開を考えていた時期で。前田代表自身も海外展開を一緒にしていく人を探していたようで、僕はちょうど海外に戻ろうと考えていたこともあり意気投合し、即決でその後1年程SHOWROOMで海外事業をやっていました。

その時は、前田さんと一緒にヨーロッパに視察をしに行ったり、その後はタイのバンコクを中心にマニラ、上海、台北などののアジア都市をメインに回っていました。そして、タイの展開にあたって現地企業とのアライアンスを結んだり、法律事務所、会計事務所との連携なども全て行った後で、タイミングも良かったので次のステップに進むことを考えていました。

複業経験の話でいうと、実はSHOWROOM時代に自分で事業を立ち上げた事がありました。18歳の頃からカメラが趣味で、一眼レフを持って街に出ることが好きだったのですが、インバウンド観光客向けに撮影サービスを立ち上げました。それがビジネスとして上手くいった事もあり、その時から漠然とですが自分で事業を立ち上げて仕事をしていきたい、という思いがふつふつと出てきて、独立する事を決意しました。

ー複業経験が実際にあるのですね。複業を始めたきっかけも教えてください。

海外からの観光客が増えている中、渋谷のスクランブル交差点でスマホで自撮りする姿を見て、思い出の形作りが本当にそれでいいのかと疑問に感じていたんです。それでいい写真が撮れるのかなと。「それなら自分が撮ってあげればいいんだ。」と思ったのが事業を作ろうと思った最初のきっかけです。

有名観光地のような場所にしか行かない観光客に、撮影をしながらも、普通なら知ることのできないローカルの場所に連れて行ってあげるとすごく喜んで貰えました。同時に、英語で日本文化についても教えてあげたりしていましたね。

そのときは複業でお金を稼ごうというよりかは、日常から疑問を持つ習慣があり、そこにカメラや海外交流などの自分が純粋に好きな物が重なった結果、それが自然と複業になっていました。

複業は多くの視点を持つという点ですごく意味があることだと思います。企業1社にしか勤めていないとその会社が世界の中心になってしまうと思っていて。複業はそういったときに新たな視点、広い視野を与えてくれる機会になると思うんです。

ーDeNA時代やSHOWROOM時代の複業が、現在の仕事に繋がっていたりしますか?

大きい会社になればなるほど、オペレーションや企業ならではの事業の進め方が決まっていたりします。DeNAにいたことでそういった「大きな組織ならではの動きがあること」を知ることができたのは良い経験になっています。僕達がマーケティング事業でクライアント様のお手伝いをする際に、そういった理解があるので、「これは承認が通しづらいですよね。」といった相手の立場を想定した上でのコミュニケーションができるようになりました。

複業での経験は、自分は事業をゼロから立ち上げたこともあり新規事業を立ち上げる泥臭さや大変さを肌で知ることができたので、今に間違いなく繋がっていると思います。複数のプロジェクトを同時にこなす経験にもなりましたね。

相手をリスペクトし続けるワークスタイル

ー案件の出会い方や営業をかけ方を教えてください。

僕はありがたいことにリファラルという形でお声をかけて頂く事が多いです。

既存のやり取りしているクライアント様から紹介して頂くこともあれば、どこかから自社の事を知ってDMを頂いたりします。

ー自然とDMが来るということは、やはり外に発信していらっしゃるのですね。

はい、twitterで思ったことは言葉にするようにしています。また、ここ最近はFacebookを使っていなかったのですが、頻度を上げていこうと思っています。Facebookはビジネスツールとして活用されている方はたくさんいらっしゃるのでまだまだ情報発信のツールとして活用の余地がありそうです。

ーなるほど。複業メンバーのディレクションはどのようにしていますか?

複業メンバーのディレクションは、取引先のプロジェクトに対して、各メンバーがどのボールを持っているのか全て洗い出します。基本的に自分は全メンバーのタスクを把握していますね。

メンバーにタスクのリマインドができますし、そのほうが結果的に最終アウトプットの質を担保することができます。今年の目標は一つのプロジェクトではなく、複数のプロジェクトに共に入っていけるコアメンバーを固めていくことです。

ー多くの案件やディレクションを担当される中で、仕事の回し方や頭の切り替え方の秘訣を教えて下さい。

僕は整理の時間が人の3倍ほどある気がします。

タスクからいきなり取り掛かるのではなく、毎日全てのクライアント様1社1社の現状のステータスを全部テキストに残すようにしています。曖昧な情報が頭に残っているときに、人は生産性が落ちるので常に”今どんな状態なのか”を明確にしておきます。

Notionというメモのツールを使ってクラウドに残す場合もありますし、紙とペンを使ったアナログな整理も行います。

確認時間は1日数回とるようにしていますね。仕事が回らなくなってしまうということは確認時間の少なさが原因だと思っていて、確認時間を5分でも10分でも1日に数回設けるようにすることで、プロジェクトの状態を整理するようにしています。

ーまた、複数の仕事をされていて、プライベートな時間はしっかり取れているのでしょうか。

SHOWROOMに在籍当時、前田さんのインタビュー同席していたんですが、同じような質問をされると、「毎日休みみたいなもんなんですよ。」と言っていたんですよね。

当時は驚いてましたが、今ではその気持ちが良く分かるんです。好きな事や熱量を割けることをやっている時はONとOFFの概念がないんですよね。ですので、ある意味毎日仕事をしていますが、一方で自分では毎日好きなことを行っている感覚です。

ただ運動はするようにしています。小学校から続けているバスケをやっていたり、ランニングなどは定期的に行うようにしています。

ーなるほど。では、複数の仕事をする上で大切にしていることを教えて下さい。

まずは、相手に対して圧倒的なリスペクトを置くことです。それはお客様に対してもそうですし、一緒に働いているメンバーに対してもです。お客様に対しては色々なマーケティングができる会社がある中で、ご縁もあって選んで頂いているので、感謝と誠意を持って仕事をする事を大切にしているんです。

一緒に働くメンバーに対しても同じで、世の中に無数に仕事がある中で自分と仕事をすることを選んでくれているので、毎月のフィードバックなどを通して他の仕事では得られない学びを持って帰ってもらうことを常に意識しています。

また、僕がメンバーにも強く言っているのが「正しくある事」ですね。世の中グレーな出来事がまだ多くありますが、どんなときにも正しい倫理観を持ち、お客様や一緒に働くメンバーと接する事を、自分も会社としてもすごく大切にしています。

プロダクトも、マーケティングも相互作用でより良いバリューへ

ー今後の展望についてお話を移していきたいと思います。今後チャレンジしたいことを教えてください。

組織についてはコアメンバーとして一緒にやっていく仲間が欲しいので、チーム作りに力を入れていこうと考えています。また、現在自社プロダクトを作っているので使い続けて貰えるサービスを目指して開発していきたいですね。

個人としては、更により良いマーケティング戦略を提案できるように学びを止めず、現在数社あるプロジェクトの数を広げ、より多くの企業に自分達の会社のバリューを届けられるしていきたいと思います。

後は夢ですが、犬が走り回るオフィスを作りたいです。笑 仲間とずっと話していて。仕事をしているときに犬がそこら辺に寝てたら幸せじゃないですか。笑

また、会社としても個人としても、学生と関わっていきたいという思いがあります。今までも都内の大学でお話をさせて頂いたりとか、私立高校の授業をした事もあります。自分よりも下の世代に何かを伝えていきたいという思いが強いので、学生との触れ合いも能動的にやっていきたいなと思います。

自らが熱くなれる複業を

ーこれから複業にチャレンジする人にアドバイスを頂きたいです。

アドバイスというとおこがましいですが、お金稼ぎの為の複業は多分何も残っていかないので、絶対に辞めた方が良いと思います。僕もそうでしたがお金ではなく、自分が自然と熱くなれるもの、好きなもの、熱量が出るものに対して複業を初めてみる事が大事だと思うんです。

それから大切なのは興味を持ったら小さいステップでもいいからやってみること。始めるにあたって最小のステップを探すことがおすすめです。

いきなり大きなステップを踏み出そうとすると、1歩目が難しくなってしまったり、間違った時に戻りづらくなるんですね。小さく小さく、でも確実に1段ずつ上がっていくということが、複業ではすごく大事なことかなと思います。

その後は、実際にやってみて何を感じたのか、何が身に付いたのかを振り返って言語化しておくことが重要です。振り返りのタイミングで絶対にやっておくべきことだと思いますね。

ー金田さん、本日はありがとうございました!